2019.12.30 結婚のすすめ #001 Takram コンテクストデザイナー 渡邉康太郎さん 手の中にある「月の埃」part03-結婚・夫婦の形

渡邉康太郎さん
Takram コンテクストデザイナー / マネージングパートナー
慶應義塾大学SFC特別招聘教授

東京・ロンドン・ニューヨークを拠点にするデザイン・イノベーション・ファームTakramにて、事業開発から企業ブランディングまで幅広く手がける。「ひとつのデザインから多様なコンテクストが花開く」ことを目指し活動。主な仕事にISSEY MIYAKEの花と手紙のギフト「FLORIOGRAPHY」、一冊だけの書店「森岡書店」、日本経済新聞社やJ-WAVEのブランディングなど。慶應SFC卒業。在学中の起業や欧州での国費研修等を経てTakramの創業期に参加。趣味はお酒と香水の蒐集と茶道。茶名は仙康宗達。大日本茶道学会正教授。81.3FM J-WAVE 木曜日26:30-27:00の番組「TAKRAM RADIO」ナビゲーター。国内外のデザイン賞の受賞多数。また独iF Design Award、日本空間デザイン賞などの審査員を務める。最新著作の『コンテクストデザイン』は極力一般流通をさせず、トークイベントを行った書店・場所のみで販売を行なっている。 (聞き手:株式会社二重 代表取締役 吉岡芳明)

 

<結婚>

吉岡 お二人が結婚を決めたきっかけはなんですか?

渡邉 彼女の誕生日を祝ってるときに、彼女が小説家として今後どう過ごしていくか、という話になりました。小説家は執筆活動の後半か死後に全集が作られるものですが、「全集」というくらいだから既刊の小説はもちろん、色々な雑誌の連載もやフリーペーパーへの寄稿なんかも、バラバラにあるものをまとめなきゃいけません。想像すると結構な手間です。彼女の部屋は常に散らかっているので(笑)、どこに何の原稿があるか……。朝吹真理子の全集をつくる段になったら、編集者はきっとついているだろうけど、「僕もその編集を手伝いたい」と話したんです。僕は直接的に結婚とは結びつけてなかったんだけど、彼女はプロポーズだと受け取ったと、あとから言っていました(笑)。お互いのイメージする未来が、会話の中で一緒に過ごす線の上に乗っていったのかもしれないですね。

吉岡 どのような形で周囲の人に結婚を報告しましたか?

渡邉 「式」という形をあまり意識していなくて、代わりに恩師や親友、お世話になっている人を少人数招いて食事会をしました。そのために真理子さんのお父さんが買ってくれたドレスが家にあって、今後もいつでも白いドレスを着られる。僕もタキシードを持っているので、いつか、旅行先で二人だけで勝手に結婚式をやるのもいいよねとよく話してます。原っぱでとか海でとか。

吉岡 結婚した後に気持ちの変化、価値観の変化はありましたか?

渡邉 多々あります。結婚は、パートナーの文化OSを自身の生活に取り入れることなのかもしれません。例えば細かな話だと、どんなお店に出掛けるかとか、就寝のタイミング、音楽や料理。僕はシャワー派、彼女は風呂派、でもお互いにそれもいいなと思っている。常識の幅がいつの間にか二倍になったり、自分の中で唯一の選択肢だと思っていたものの幅が広がっていく。お互いの食器を持ち寄って、最初はいいと思わなかったものに愛着がわいてくるとか。

生活様式だけでなく、読む本から政治の話から時事問題から、常に会話や議論はあるので、お互いに影響されることも多々ありますよね。例えば彼女は折口信夫という民俗学者が好きなので、僕も折口の本を読んだりしています。

自分の常識がほぐされていくことを快感と思えるプロセスですね。相手を知る中で、自分と全然異なる常識の一セットが、どのように形成されていったのか、少しわかる。それも嬉しいです。

 

<夫婦の形>

吉岡 康太郎さんが結婚を通じて、世の中に伝えたいことがあれば教えてください。

渡邉 夫婦になって、他のカップルと付き合うことの楽しさが生まれたと思いました。友達、先輩、親戚と僕たちとの関係は様々ですが、いろいろなカップルの素敵さを目撃できる。たとえば同世代の友達カップルで、ファッションデザイナーとファッションの先生という二人がいます。彼らは寝ても覚めても、僕たちの眼の前でもファッションの議論をしてる感じとか、感心しちゃうし。親戚のとある夫婦は、ちょっと僕たちに似ている部分もあるかもしれません。かっこいい抜け感のある女性は小さい頃から忍者になりたかったらしくて、中学や高校にはポケットにかんしゃく玉を入れて通ってたとか、謎の発言をするチャーミングな方です(笑)。パートナーの方は古美術商で、仕事のときに見せる目利きの目線と、夫婦ならではの親しいコミュニケーションのギャップを、すごく微笑ましく見たり、先輩としてかっこいいなと思ったり。

あとは現代美術家とギャラリストというような、相補的なパートナーも格好いいですね。お互い、仕事と人生が一致しつつ、でも常にリスペクトし合っている。彼らがかっこいいのは、お互いの思い出話をジョークを交えて語り合うんですが、一方的でなくて、双方冗談で話題を広げて行くんですね。時にお互いをからかい合ったりしながらも、常に敬意を持ってるから、みんなで楽しめる。

結婚して初めてそういったパートナー同士のおつきあいが増えたと思います。いろいろなパートーナーのかたちに触れられるのはすてきだなと思いました。

吉岡 結婚を大切にする二人のためのブランド『iwaigami』がここにありますが、やってみたい使い方はありますか。

渡邉 そうですね……。本当に使ってみるなら、先ほどの話に出てきたような、二人の色々な旅行先に持っていって使うのは、面白そうだなと思います。国内、海外問わず、二人だけで。

吉岡 あえて神道的な儀式を意識した仰々しいバージョンを用意してみるのも面白いかもしれないですね。

渡邉 逆に、神道らしさすらも取り払って、宗教とは無縁のバリエーションも欲しいです。「クリスチャンが多数ではない日本人が」というのがスタート地点なら、神道や仏教ですらないものがあっていい。そういう意味では、オーダーメイドってあり得るんですか。カップルの要望を伝えて……。

吉岡 iwaigamiのモノに関してはないんですけど、これを使う場所に関しては、僕らももう少しいろんな形でサポートしてあげたくて、2人らしい場所だったり、結婚式をやらないような意外な場所だったり、協力してくれる場所を見つけていきたいと思っています。今日はまるで小説を読むような二人のストーリーを聞かせてもらい、ありがとうございました。

 

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